アグリアカデミア公開講座を開催―大阪野菜収穫祭―

アグリアカデミア（農業経営スクール）

2017.11.08

JA大阪中央会大阪農業振興サポートセンターでは、昨年度に引き続き大阪府との共同事業として農業経営ビジネススクール「大阪アグリアカデミア」を開講しています。今年度はスタートアップコース14名、リーダーコース24名が参加中です。

11月3日にグランフロント大阪うめきたＳＨＩＰホールにて本アカデミアの公開講座が開催されました。その様子をサポートセンター職員が取材しましたので報告します。

公開講座は「大阪野菜収穫祭」と題し、大阪を代表する農家である芝尾健氏（堺市）、梁守壮太氏（箕面市）が、アグリアデミアの受講生や卒業生が持ち寄った野菜を食べながら「それぞれの農業スタイル」「大切にしていること」「おいしさとは」「今後の農業を担う若手農家へ」といったテーマについてディスカッションしました。

梁守氏は「野菜が嫌な自分でも食べられるおいしい野菜、買ってもらった人が感動する野菜を作りたいという気持ちで農業をやってきた。農業のいいところは色んな相手と組めることだ。自分の農業スタイル、周辺環境、相手の人物像など、誰と組むかよく考えて組めば可能性は大きく広がる。例えば、個人で持って行っても相手してくれないような大きな市場も、ＪＡにまとめてもらえば出荷できるようになる。大阪はＪＡと行政に協調した支援体制があるので農家もやりやすい」と語りました。

芝尾氏は「農家にとって土地は資産でなく仕事場である。急速に変化していく都市の中で農業というゆっくりと変化するものを守るためには、行政の持つ情報や横のつながりが必要。これからの農家は自分たちの地域、環境を受け入れ、その中で自分の戦略を考えることが求められる。京都には京野菜があるように、大阪農業のキーワードは『たずさわり』だと思う。消費地が近い利点を生かし、地域住民を自分たちの輪の中に入れていくことが大事だ」と述べました。

また、野菜の食べ比べでは「旬の野菜がおいしいのは、体がその野菜をもっとも必要とする時期だから」「パプリカはへたが六角形以上で、重いものがおいしい」「ミニトマトは水に入れてストンと落ちるものが糖度が高い」など野菜についての豆知識を披露されながら、ときには野菜を持参した受講生を壇上にあげ、彼らと野菜へのこだわりについて語り合いました。

芝尾氏と梁守氏のディスカッションにアグリアカデミア卒業生も参加し議論が白熱

対談終了後には、お二人が食べられた野菜が参加者に振る舞われ、「ミニトマトは甘みと酸みのバランスがよく、さっぱりしていてよかった」「ミツバは歯ごたえがよく、かおりも素晴らしかった」など大阪産野菜のおいしさを堪能していた。

その他、対談の前後には頭の中を整理し、集中力、発想力アップにつなげるマインドフルネスヨガ、ＩＣＴ・ＧＰＳを活用した先進農業の紹介など、農業経営にまつわる様々な講義が行われました

大阪のお野菜さんを味わう参加者

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終了後には懇親会も開催された

対談者プロフィール

芝尾健氏―エコ農産物の立上げに尽力し、ＪＡ堺市の大阪エコ農産物出荷部会会長を務められています。また、「金岡まちづくり協議会」にて副事務局長も務められ、農家だけでなく、非農家住民も巻き込んだ都市農業と農地を守る活動に取り組んでおられます。

梁守壮太氏―野菜の味を消費者に理解してもらうため、各野菜に合わせた施肥や輪作による土作りなどに取り組んでおられます。現在では「顧客に自分の圃場まで収穫に来てもらう」など独自の経営スタイルを確立され、店舗プロデュ―スや農業講師、ディベロッパーと組んで屋上緑化のプロジェクトにも参加されています。

写真　左　梁守壮太氏、右　芝尾健氏